

スタートアップとは
TOKYO町工場HUBが考えるスタートアップとは、「社会課題解決や満たされていない人々の切実なニーズに応えるべく、今までにない製品やサービス、新しいビジネスモデルを創出し、その実現と成長に向けてコミットしている企業や団体」であると定義しています。創業年数や規模に関係なく、不確定で未知な分野に挑戦する気概と実力のある人たちを総括してスタートアップと捉えています。
このようにスタートアップを広く定義するのは、スタートアップの意義を「社会・経済の変革の担い手」として見ているからです。ベンチャーキャピタルにとってはスタートアップは、非常に高い金銭的リターンを生み出しうる対象として存在意義がありますが、TOKYO町工場HUBはスタートアップのもたらす社会的変化や経済的な革新に重点を置いています。成長を目指す点では同じですが、目指す市場規模や出口戦略の要否などの点で、見方が異なります。
創造力が活かされる社会に
TOKYO町工場HUBは、創造力を持つクリエイティブな人たちが自由自在に活躍できる社会を理想としています。人間の創造力こそが、社会の様々な課題を解決し、地球環境を守り、私たちの生活を豊かに、幸せにするものだと信じています。この創造力を解き放ち、自由にイメージをカタチにできる社会を実現したいと考えています。
新しい時代は、小さくとも戦える「個」の時代でもあります。「個」の時代では、大量生産大量消費時代の組織的な垂直型の協働に加え、水平的でダイナミックな協働が生まれてきます。極端に分業と細分化されたものづくりの要素を新時代に最適化するように再編成し、創造力の背中に翼をつける必要があります。
スタートアップの裾野を広げる

TOKYO町工場HUB がビジョンに掲げるスタートアップのエコシステムは、革新的なアイデアが数多く生まれ、創造力豊かな人々が自由自在に活躍できる事業環境の構築を目指すものです。次のユニコーンにもなりうる創造力に溢れる人々が、次から次へと挑戦していくための事業環境づくりです。裾野広げて革新的なアイデアが芽を出す土壌を耕すことが大事だと考えています。
スタートアップの初期の事業ステージ(プレシード〜アーリーステージまで)に特化して、必要な経営資源(リソース)にアクセスしやすいエコシステムの構築に力を注いでいます。
経営資源へのアクセスを拓く
スタートアップは、常にさまざまな経営資源(リソース)が不足したまま、事業を成長させる必要があります。そのため、必要なリソースへのアクセスが成長に欠かせません。しかし、十分な経験も知識もなく、ネットワークの範囲も狭いことが多いスタートアップでは、リソースにアクセスすることは容易ではありません。どこからどう手をつけたら良いか、どの相手にアクセスすべきか、事業の各ステージで悩みは尽きません。
TOKYO町工場HUBでは、以下の諸要素へのアクセスを可能にする幅広いネットワークとリソース獲得への具体的なプロセス構築に取り組んでいます。
モノづくりへのアクセス
葛飾区、足立区、墨田区などの町工場100社を超えるネットワークのハブ機能を構築し、モノづくりを支援。
市場へのアクセス
多種多様な分野との人的ネットワークを活かし、ターゲットとなる国内外の市場へのアクセスをお手伝い。
ファイナンスへのアクセス
各々の事業戦略に適合したファイナンスのあり方を模索し、必要な資金をタイムリーに調達すための支援。
人材へのアクセス
スタートアップ初期の段階では、事業を推進する最適なチーム作りが重要。外部調達も含め、戦略を支援。
連携先へのアクセス
事業の成長には、戦略的なアライアンスや官民学の連携も必要となる。幅広いネットワークを活用して連携をつなぐ。

東京の下町はものづくりの宝庫
東京の下町、特に隅田川の東側のイーストサイドでは、今でも多くのものづくりが息づいています。ピーク時に比べ、数は大きく減少しましたが、多種多様なものづくりの基盤が残っています。
東京のものづくりの多様性を活かして製品を開発したケースとして、Tokyo Keyboardは良い事例です。地域に散らばっている高度な技術をまとめて、今までにない製品をつくりあげる醍醐味を見せてくれます。
エコシステム構築の戦略
エコシステムづくりは、諸要素の寄せ集めでは有効な環境をつくることができないところに難しさがあり、また面白いところでもあります。工場の会社概要や事業内容を知っていても、それだけでは有効なリソースであるとは言えません。スタートアップのエコシステムとは、現実の人間社会にあって、信頼にもとづき、有機的につながるネットワークと連携なのです。
TOKYO町工場HUBでは、その理解の上で東京のイーストサイドに範囲を絞り、エコシステムのコアとなる「モノづくり」、「マチづくり」、「ヒトづくり」に力を注いでいます。このコア部分にファイナンスや各種支援をつなげ、グローバルなネットワークをリンクすることで、市場への出口を切り拓き、スタートアップが必要なリソースが集まってくるというビジョンを描いています。失敗を恐れずに挑戦する希望を醸成する社会的環境や、失敗した時にもやり直せる経済的な支援環境づくりも大事です。

エコシステムのコア形成
TOKYO町工場HUBは、創業以来、スタートアップのエコシステムづくりに取り組み、少しずつベースとなる土台を作り上げてきました。現在、小さな努力の結果が積み重なり、徐々に相乗効果を上げつつあります。