超高齢化社会プログラム2019@一橋大学ICS DAY4

超高齢化社会の町づくり

海外のExecutive MBAを対象とした超高齢化社会の学習プログラム4日目は、超高齢化社会における街づくりの先進事例として千葉県柏市の豊四季台団地を視察しました。

高齢化率が40パーセントを超える豊四季台団地では「住み慣れた場所で自分らしく老いることのできるまちづくり: Aging in Place」の実践的なモデルとして、柏市、東京大学高齢社会総合研究機構(IOG)、独立行政法人都市再生機構(UR機構)がアライアンスを組み、10年以上に渡って新しい町づくりのプロジェクトに取り組んでおり、地域包括ケアシステムの先進モデル事業として全国から行政関係者や福祉団体などがひっきりなしに訪れています。

柏市役所(石毛 福祉政策課長)

豊四季台団地は、高度経済成長時代の東京で働く人たちのベッドタウンとして住宅公団(現UR機構)によって開発され1964年から入居が始まり、当時のもっとも進んだ住宅地の一つでしたが、50年以上が経過して住居が老朽化するとともに、住民の高齢化が進み(柏市の高齢化比率が全市平均で20%に対して豊四季台団地は40%以上)、さまざまな問題が顕在化してきました。こうした課題は日本全国の同様な郊外型団地や住宅地で直面するものです。その解決ためのモデル構築を目指して、本プロジェクトが立ち上がりました。

連日の雨も上がり、快晴となりました。神保町からバスで揺られること1時間弱で豊四季台団地の会場となる柏市地域医療連携センターに到着。まずは、午前中に柏市役所保健福祉部福祉政策課長の石毛雅之氏より豊四季台団地でのプロジェクトの行政側の当事者としてお話を頂きました。

柏市役所 保健福祉部 福祉政策課長 石毛雅之氏

町づくりとしての豊四季台団地プロジェクトの対象は、広範囲に渡っています。エレベーターの無い老朽化した建物の建て替え、医療、介護、移動手段から買い物などの生活全般の公共サービスの改善、孤立化を防止する人と人との関係づくり、更には生きがい就労のような地域で知識や経験を活かして活躍する機会をつくる取り組みなど、「住み慣れた地域で自分らしく生きること」に向けての多種多様な施策が実践されています。

日本の男性が定年退職後、地域のコミュニティに溶け込めないために孤立化しやすく、その対策に苦労しているという話題には、各国でも同様のケースがあるようで大いに盛り上がりました。

石毛課長は参加者からの多様な質問に論理的かつ明確に回答され、おかげさまで参加者にとって非常に満足度の高いセッションとなりました。今回は会場の手配も含め、多大なご尽力をいただき、深く感謝申し上げます。

IOG研究生によるプレゼンテーション

石毛課長のセッションに引き続いて、東京大学高齢社会総合研究機構(IOG)の研究生たち(呂さんと楊さん)より研究テーマである「豊四季台地域活動館」でのボランティア活動について紹介を頂きました。海外からの留学生として、日本の超高齢化社会の現場に身を置き、実際に高齢者とやりとりしている内容は、とてもわかりやすく参加者たちも熱心に耳を傾けていました。

団地内視察

昼食後、グループに分かれて豊四季台団地の中を1時間ほど歩きながら視察しました。今も残る旧型の建物を見つつ、建て替えによって変化している町の様子を見てルートを用意しました。ガイド役には、IOGの菅原先生、伊藤研一郎先生(特任研究員)、呂さんがついてくださり、参加者を案内頂きました。

豊四季台団地の再開発の目玉の一つに商店街の開発があり、旗艦店となっているスーパー内の視察では、低く置かれた商品棚や独り住まいの高齢者をターゲットにしたお惣菜の品揃えが豊富にあります。

車椅子の高齢者が実際に店内で買い物をしている様子を目にし、配慮が行き届いた環境を体験できたことは貴重な学びになったみたいです。

参加者にとって日本の住宅地を訪問するのは初めてでした。見るもの全てが珍しいようで、あちこちで歩みが遅くなってしまうのは仕方がないことでしょう。これまで話に聞いたり、資料で読んだりして得た知識ですが、自分の目で確かめることで新たな発見や疑問を見出したようです。視察後にIOGの菅原先生との質疑応答にも熱が入りました。

菅原先生をはじめ、IOGの皆様には準備段階から本当にお世話になりました。深く御礼申し上げます。

高齢化社会におけるコンビニ戦略

豊四季台団地をあとにして、一橋ICSの教室へ戻りました。最後のセッションは、株式会社セブン-イレブン・ジャパンの執行役員 商品本部副本部長 和瀬田純子氏をお招きし、同社の高齢化社会を見据えたコンビニエンス・ストアの商品開発、マーケティング戦略についてお話を頂きました。

コンビニエンス・ストアは、社会の鏡といってもよく、どのような視点や考え方で商品開発やマーケティングを行なっているのか、とても興味深く、参加者たちは前半の視察の疲れも見せずに、熱心にプレゼンテーションに聞き入っていました。

冒頭で高齢者に対するイメージの変化を説明するのに、面白い方法を取られていました。それは会長となった島耕作(65歳)とサザエさんの父役である波平(54歳)の絵を見比べて年齢の高さを問うもので、漫画の世界とはいえ、あまりの変化の大きさに参加者も驚いていました。

最初から最後まで非常にインパクトのあるお話でした。企業秘密に関わる事項も多く、ここではお伝えできないのが残念ですが。

1週間のプログラムも、いよいよ残すところ最終日となりました。最終日は、グループワークのスポンサー企業に対するプレゼンテーションがあり、そしてプログラムのフィナーレに向けて進みます。

一橋大学大学院 国際企業戦略研究学科(ICS)について

一橋ICSは、日本有数の国立大学として伝統ある一橋大学を母体とし、その精神を受け継ぐビジネススクールです。2000年、経営学教育のイノベーター集団により、全ての授業を英語で行う日本初のグローバルなMBAプログラムとして発足しています。教授陣には、野中郁次郎一橋大学名誉教授や数々のビジネス書でも有名な楠木建教授などが在籍されています。

http://www.ics.hub.hit-u.ac.jp/jp/

Global Network for Advanced Management/Global Network Week

Global Networkは、世界のトップビジネススクール30校により構成されるネットワークで、一橋ICSは、設立当初から日本を代表とする1校として参加。同ネットワークが行う様々なプログラムの中にExecutive MBAを対象にしたGlobal Network Week for EMBAがあります。これは世界のEMBAの学生たちが、各メンバー校が主催する1週間のプログラムに参加するもので、一橋ICSは昨年からEMBAを受け入れ、「超高齢化社会」をテーマに本プログラムを実施しています。

TOKYO町工場HUBは、一橋ICSの委託を受け、2018年の第一回目開催より本プログラムの企画と運営に関わっています。

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