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町工場の未来を拓くために:現場からの提言

町工場の現場は課題満載

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日本における町工場の役割とは

日本の製造業における町工場の役割は意外と大きいと思います。大手メーカーの築いたサプライチェーンの各段階において、無くてはならない町工場も多いはずです。大手メーカーでは難しい小回りの良さ、いわゆる職人技による固有技術、最小設備によるコスト競争力など、中小企業ならではの強みを生かし経済活性化に貢献しています。

また、資源に乏しい日本という国にとって、付加価値を生み出す手段として製造業は大きな比重を占めてきました。そこで働く従業員として、雇用の観点からも町工場は大きな役割を持っていると思います。世界的企業の重要部品製造などで、直接取引をする1次サプライヤーから、2次、3次・・・・とサプライヤー(協力会社)が連なり、実は最終的に1~2名の町工場で製造している、といった話は良く聞きます。

町工場の典型的なビジネススタイルは”受託製造業”と呼ばれるとおり、お客様から図面をいただいて、図面通りのモノを製造する事でその対価をいただく、という”受け”をベースとしたスタイルです。そもそも製造の需要があって、自分達の提供できる製造技術と需要がマッチして初めてビジネスが成立します。

基本的に自分達の製造技術/能力は、それを生み出す生産設備を”先に”設備する事で生まれます。先に設備というリスクを”抱え”て、くるかどうかわからない製造需要を”待ち”、ニーズとマッチしたときに初めて仕事が繋がるということになります。

町工場=受託製造業の”今”

現在国内の受託製造業(いわゆる町工場)はかつてない程疲弊しています。都内でも、ものづくりで有名な大田区、墨田区でさえ例外ではありません、この10年程で町工場仲間の多くが廃業・倒産に追い込まれてきました。最盛期の実に半分以下にまで会社数が減っている地域が大変多いのが現実です。その多くの原因は、大手企業の”海外生産シフト”と、受託製造業の”構造的欠陥”と考えられます。

高度経済成長期には、良いものさえ作っていれば仕事が自然と集まりました。町工場は次から次へと舞い込む加工の仕事をただこなしていれば、生き残っていけたわけです。新しい工作機械が出れば、その先端機械を導入して、技術力を高める事でより高度な仕事をすることができました。全てが右肩上がりであったからこそ、黙っていても事業規模を拡大でき、いわゆる職人と最新機械さえあれば、企業として成立できたわけです。

しかし、長引く不況の中で、特に2008年のリーマンショック以降は、大手企業の海外生産シフトに拍車がかかり、国内で製造するパイそのものが極端に小さくなってきました。また、主にコンピュータ技術の進歩による、工作機械の高度化もある程度行き渡り、設備による技術力差はほとんどなくなってきています。それどころか、新興国に工作機械を持っていけば、安価な労働力で一定水準以上の仕事ができますから、海外への生産シフトは加速していきます。

特に、射出成型やプレス加工など、大量生産に向いた業種が海外シフトの影響を大きく受けてきました。日本のお家芸とも言える金型、精密加工の分野にも徐々にその余波が広まってきました。その中で、町工場も自分達の本当の強みのある分野に特化して生き残りを図っています。

町工場の未来 を拓くための提言

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散らばったピースを結集するには

しかしながら、今度はこの選択と集中が行き過ぎて、ただでさえ専門性の高い加工業がさらに細分化してしまい、発注元からすれば、どこにどの仕事を出していいかわからないという受発注のアンマッチがいたるところで起こっています。逆に町工場の立場からすれば、自分達はこんなことができるんだ、ということをアピールしていかなければ、仕事が回ってこない状況になっています。

今まで必要の無かった、自分達の製造・加工技術の売り方=営業力が求められる中で、営業・販売という分野そのものに不慣れな事が露になり、大きな壁にぶつかっているのが現状です。また、発注元となる大手メーカーでは設計と製造現場が離れる事で、製造工程への理解が進まないまま図面を出図した結果、製造現場で大きな問題が出ることが頻発しているという事をよく耳にします。

今の国内の受託製造業は、概ね上記のような状況となっていると考えて間違いないでしょう。設計者・発注者様と加工業者が相互理解の元、対等な立場として良い製品を生み出していく事に取り組むという事が今後更に一層の重要性を増すことと思います。

また、町工場としては設備を増やし自社内であらゆる工程を準備する、ということがビジネスとして大変成立しにくくなって来ています。板金加工業者が新しく切削機械を設備して、切削加工も手がけるといった事は大きなリスクを抱えます。ただでさえ既に切削加工を専門にしている加工業者はまだまだたくさんあり、激しい競争を繰り広げているわけです。

”横の連携”でビジネスを繋げる

重要なのは、わざわざ同じ分野に新規参入して競争を増すのではなく、お客様からのあらゆるニーズを吸い上げ、”横の連携”でビジネスを繋げる事ではないか、と考えます。町工場としては更に、設計・開発というものづくりの上流部分を理解し、営業・販売という分野も貪欲に勉強していくとともに、設計者様・発注者様にも製造現場で必要な情報を予め知っておいていただき、相互理解を深めていけたら素晴らしいですね。

そんな橋渡しを少しでもできればと、日々考えています。

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