丸穴の型抜きが職人の腕を試す

丸穴の型抜きが職人の腕を試す

実は身近な型抜き加工

型抜きという作業は、実は私たちの日常生活に馴染んでいるものです。子供の頃であれば、粘土で動物や乗り物の型を打ち抜いて遊んだ経験は誰にでもあるでしょう。大人になれば、クッキーを作ったり、パイの生地を作ったりするときに、型抜きはやっていますよね。型を使って、色々な形状を打ち抜くことは、案外身近な作業なのです。

ですから、プロの型抜き職人であれば、よほど複雑な形状を扱っている人のことのように思われるかもしれません。もちろん、複雑で特殊な形状を打ち抜くことはあります。しかし、単純な丸穴の型抜きこそがプロの腕を試すと聞いたら驚くでしょうか。

簡単に見えて、簡単ではないこと

一見、誰でもできそうな丸穴の打ち抜きがなぜ難しいのか。見習いの頃の失敗事例で説明しましょう。

頼まれたのは、厚さ5mmのゴム板に直径5mmの丸穴を開けて欲しいという作業でした。図面上で直径10mmの丸穴の打抜き加工と書かれていた場合、通常は直径10mmの丸刃(クリヌキ刃)を使用します。その時もそのまま直径5mmのクリヌキ刃で型を製作してもらい、打抜き加工をしたのですが、出来上がったきたのは直径4.8mmぐらいで、何度やっても微妙に小さくなってしまいます。しかも、刃が入り始めた部分は直径5mmですが、厚さ5mmのちょうど中間地点、2.5㎜ほど深く刃が入ったあたりでは、直径4mmぐらいの穴径しかなくなっていました。

ビクトリア型抜きで使われるクリヌキ刃

型は図面通りに出来上がっていますし、工程に間違いもない。材料もスポンジにように時間経過で縮んだりはしない。さて、これはどうしたことか。。。

丸穴の型抜きが職人の腕を試す

実は型抜き加工というのは、材料を「切る」というよりは、刃が「めり込んでいく」というイメージに近く、材料は潰されながら打抜かれます。そしてゴムのような弾力のある材料であればあるほど潰された時に横に伸びながら打抜かれ、抜き切ると元に戻る性質があります。そのため、図面通りのクリヌキ刃では、ゴムが戻った分、穴が小さくなってしまうのです。

厚さ0.1mm程度の薄い材料だったり、比較的硬い材料の場合その穴の変形も少なくなるのですが、精密に見ればそれらもごくわずかですが、寸法変化を起こしているのです。ですから初めて扱う材料で厚みが2mm以上あるものに関しては、サンプル材料を実際に自分の手で触ってみないと、どのように加工をするかが決まらないのです。そしてその大きさを予測するのは完全に職人の勘になります。

大抵の場合、「穴が開いている」ということはお客様はその穴に何かを通すということが前提になります。ですから穴が小さくなるというのは完全にNGなわけです。むしろ少し大きいぐらいが良いということもあります。

一見簡単そうに見えるものこそ、一切のごまかしがききません。ここに職人の腕が試されます。

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