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留学生とのブレーンストーミング

日本の食文化と伝統を伝える方法

TOKYO町工場HUBは、料理研究家の大瀬由生子先生と食文化とものづくりをテーマにした新しい事業の企画を進めているところです。特に海外の人たちに、日本の魅力を伝え、新しい市場を開拓することは大きな目標のひとつです。

今般、東京大学大学院の留学生2名(TさんとPさん)と大瀬先生をお迎えし、日本の食文化という切り口で、葛飾区の伝統産業をどのように海外の人たちに伝えるべきか、具体的な方策についてブレーンストーミングを行いました。留学生の二人には、事前に葛飾区の名所や伝統職人の様子を見てもらい、その経験から率直な意見を交換できればと準備して臨んだものです。場所は、柏の葉キャンパス駅にある素敵なレストラン。自由な発想でディスカッションできるように、ワインも注文しました。

二人の意見では、日本の伝統文化や食文化を伝えるのであれば、体験型が良いだろうということでした。見たり聞いたりすることに加えて、自分で料理を実際に作ったり、道具を使ったりすることで、魅力は伝わりやすくなり、そのようなプログラムであればお金を払ってでも参加しようとする人たちも増えてくるはずだと。日本の食文化が大好きな二人。大瀬先生との話は熱を帯びて細部にまで及び、あっという間に時間が過ぎてしまいました。

私たち日本人が当たり前に感じていることも、外国人から見れば心が高まるほど魅力的に見えるものもあるようです。日本に来る外国人観光客の数が急速に増え、インバウンドという言葉も定着しましたが、東京にある葛飾でさえ、十分にその価値を伝え切れていないと思われます。その意味でも、食文化という切り口で魅力をわかりやすく伝える方法を模索することは、面白いのではないかと思います。

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食文化 × ものづくり

本事業は、葛飾区の伝統産業には「食」に関連する製品が多いことに気付いたことから始まりました。たわし、包丁、おろし金、ガラス食器(切子、サンドブラスト)、銀食器、箸などです。こうした伝統的な食器や道具は、私たちの日常生活で使われ、日本人の食文化を支えてきたものです。しかし、産業としては残念ながら衰退傾向にあります。 大瀬先生は、糀による発酵食品を中心に、日本の伝統的な食文化に造詣が深く、幅広い活動に取り組まれています。伝統的な製品を単なる道具としてバラバラに見るのではなく、日本の食文化という文脈(コンテキスト)の中でつなげて見直すことで、新しい価値が生み出されたり、新市場の展開が見えてくるのではないか。このアイデアを先生にご相談し、コラボレーションが実現したものです

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FOOD LIFE SCHOLARS

フード・ライフ・スカラーズ

フード・ライフ・スカラーズ(Food Life Scholars)は、料理研究家の大瀬由生子先生とTOKYO町工場HUBのパートナーシップで展開する「食」と「ものづくり」をテーマにした新しい事業です。

人類にとって「食べること」と「ものを作ること」は密接不可分な関係にあります。私たちは食べるために道具を発明し、長い年月をかけて経験や技術を進化させてきました。その進化の先に文明が生まれ、食文化が発展し、現代へとつながってきています。そして、日本人には日本人の、現代には現代の食文化があるのです。

新しい価値観や社会のニーズに応えつつ、伝統的な食文化に現代的な価値を見出して、今の日本人にとっての食文化を「食」と「ものづくり」の視点から見直し、今の時代にふさわしいモノやコトを提案します。それはまた、これからのライフスタイルを考えることにもつながっていくでしょう。