有限会社ミツミ製作所:精密切削加工

葛飾区の切削加工の老舗

閑静な住宅地に、半ばひっそりと佇んだ有限会社ミツミ製作所の工場は、外から眺めると白い壁の瀟洒な一般住宅にしか見えない。細い道を挟んだ向かい側には小さな公園があり、子供たちが賑やかに遊んでいる。

しかし、外と内を隔てるサッシのドアを開けて中に入ると、そこは別世界である。十数台の自動旋盤機が所狭しと並び、旋盤のウィーンといった高い回転音が響き渡る。油と金属の匂いに満ちた町工場が姿を見せる。

ミツミ製作所は、自動旋盤による金属の切削加工を行う葛飾区の老舗の町工場である。その高い技術力と創造性は、葛飾区の「町工場物語」ブランドにも認定されている。

珠玉のオリジナル製品

東京理科大学の学生たちと工場見学に訪れた。同社の山田社長は、学生たちのために、ガレージの前にスペースを作り、並べたドラム缶の上にダンボールを置いた即席の展示ブースを用意して待っていて、すぐに見学者の心を掴んだ。テーブルの上には、自社の精密切削加工技術を生かしたオリジナル製品が丁寧に並べてある。山田社長は、その一つ一つを楽しくわかりやすく説明してくれた。

まずは「葛飾演舞」と名付けられた何とも艶やかなキセルである。タバコを全く吸わない者でも、思わず手にしたくなる逸品で、パーツが4分割でき、シガレットホルダーとしても利用できるという。

他にも、見るからに精巧なプロ仕様のヨーヨー、一つ1万円近いハンドスピナー「後光」、何分も回り続けるコマなど、いずれも山田社長の並々ならぬ工夫と思い入れが込められた製品が光を放つ。学生たちは、それぞれ手にとって、その感触を楽しんでいるようだった。

こうしたオリジナル製品づくりは本業ではないが、同社の技術の高さを分かりやすく示す。一つ一つに感じるのは、仕事への深い愛情である。

人と人との繋がりを大切にする

伝統的な職人の世界には、親方がいて、右腕となる職人や見習いがいた。現代では会社という組織になり、社長や従業員と呼ばれるが、ミツミ製作所に来ると、昔の職人の世界がどういうものであったか、ちょっと想像できる。山田社長は、いわばモダンな風を切る現代の親方である。熟練の技を持つ個性豊かな職人たちが親方を支え、チームワーク良く工場を回している。同社の社員数は4人だが、一人一人が重量級という感じで、迫力がある。

昭和初期に曽祖父が創業した旋盤加工の事業を、先代社長が引き継ぎ、昭和57年に同社を設立した。昭和62年にCNC自動旋盤を導入し、それ以降、光通信関連部品の製造、半導体部品の製造、医療部品関連部品の製造など、業務の幅を広げていった。現社長は、家業の後継者として若くして同社に入社、25年の経験を経て、平成28年に社長に就任、新しい技術の応用や分野を開拓している。

山田社長は、地域や町工場の振興にも積極的に取り組んでいる。参加した学生の一人が、「人と人との繋がりの大切さ」をミツミ製作所の工場見学で学んだとアンケートに書いてあったが、まさに慧眼である。

参考:葛飾区「町工場物語」の漫画での紹介記事

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