型抜き加工は機械と技術と人と共に

型抜き加工は機械と技術と人と共に

 

型抜き加工は常に危険と背中合わせ

型抜きや打ち抜きという加工の仕事は、基本的に刃物を扱う作業であり、その意味では常に危険と背中合わせです。

戦後、日本にビクトリア型抜き加工やトムソン抜き加工の技術が入ってきた当初は、印刷機械を改良して使っており、全て手動で製作していました。 中には危険な機械もたくさんあり 当時は指を1本2本と失っている職人がゴロゴロいました。「指を失って、はじめて1人前だ!」と言う人もいたぐらいです。

もちろんそんな道理は今の時代には通りません。いかに安全に作業ができるかを競って、次から次へと新しい機械が発明されてきました。 

技術の発展と時代の要請に応えて

自動打抜き機械の導入

当初は『倒し』と呼ばれる全て手動の機械を使っていましたが、50年前にフットペダルで楽に打抜ける機械が発明されました。父は、それをはじめて見た時に「こんなに簡単に打抜けるものか!」と非常に感動したそうです。

1回の作業ごとに腕を上下させて打ち抜く手動では、いつも腰痛や首痛に悩まされていたとのこと。この自動打抜き機械(1号機)を購入してからは、だいぶ身体が楽になったと言います。

当社は事業の成長に伴い、その後も設備投資を行い、2号機・3号機と全自動の機械を導入しました。また、バブル時代には既存機械の寿命が近づいたことから4号機をラインアップに加えています。私にとって、特に思入れが深いのは4号機です。高校を卒業して入社した時に、職人の基本として、自在に扱えるように修行を積んだ思い出があります。

こうして手動の機械は工場の隅に追いやられていき、安全性の高い大量生産が出来る機械を次々と導入しました。

有限会社 精工パッキングの工場

スーパープレス機による飛躍

 2000年代に入ると、単純に打抜くような加工だけではなく、より難しい仕事が多く舞い込んでくるようになりました。時代の要請に応えるため、長年使用していた2号機を思い切って廃棄し、新たにスーパープレス機という新型の機械を導入を決断したのです。

1台が約800万円する高価な機械で、一度に1回しか打ち抜けなかった今までのタイプとは大きく異なり、10回連続で打ち抜き加工ができる画期的なものでした。今まで一度に1個しか作れなかったものが、この機械で一気に10個作れるようになり、加工の生産性が大きく改善しました。

このスーパープレス1号機( SP1号機)からも多くのことを学びました。導入した際、この機械の将来性の高さは無限に広がっている!と確信し、機械の性能を100パーセント以上出し切るために、毎日毎日いろいろなことにチャレンジしました。 

さらに5年後には、増加する仕事量に対応するため、同じタイプのスーパープレス2号機を導入。これはSP1号機を更に進化させたもので、100連続の打ち抜き加工を可能にする機能を持っています。SP1号機も100連続加工ができるようにバージョンアップし、当社の扱う仕事量は大きく飛躍しました。

スーパーカッターと呼ばれる自動裁断機や、軽い力でスピードアップを目的としたサーボリンクモーター機なども導入し、設備の充実に努めてきました。

 【参考】有限会社精工パッキングの設備投資の変遷

人と機械の深い関係

「この機械のおかげ」と思える愛着

こうして会社の発展と共に新しい機械設備を導入し、時代の要請に応える努力を続けてきましたが、それぞれの機械は職人にとっては、単なる「道具」以上の思い入れがあります。

SP2号機を導入した際、当社が最初に導入した「自動機械1号機」を廃棄しました。この1号機を長年に渡ってずっと使い続けてきた 職人さんが呟いた言葉は、今でも忘れられません。

自分がいままでこうして働けて、結婚して子供も3人育ててこれたのは、この機械のおかげだ。

職人にとって、機械は道具以上に、仕事のパートナーでもあり、日々のメンテナンスを何年も何年も繰り返して大事に使います。そうした先に機械が寿命を迎えた訳で、本当に大切に扱われて大往生を遂げた機械でした。

新旧交代への思い

そして今、新しい機械の導入が決まり、今年10月の終わり頃に搬入される予定です。同時に、それは私を育ててくれた4号機との入れ替えになります。この機械の能力はまだ衰えてはいませんが、次に導入する機械は今までとは違った機械となり、当社の新たな挑戦のために、廃棄処分する予定でした。

ところが、偶然にも引き取り手が葛飾区内で見つかりました。愛着を持った機械が、新天地でこれからも活躍することを思うと、とても嬉しい気持ちになります。

機械設備の導入は常に温故知新

設備投資をすることにより色々な可能性を拡げて毎日ものづくりをしています。

次々と新型の機械が発明され それらを使いこなしてみたいと思うのも職人ならではの感覚かもしれません。1台600万円~1000万円ほどもする機械ですが、設備投資をするたびに当社の技術も向上し、職人たちの技術レベルも格段にパワーアップしています。

しかし、この機械のイノベーションだけで、技術力は改善できると言えるのでしょうか。そうとも言い切れないのです。

実は、工場の隅に追いやられた手動の機械は、今も大きな存在感を持っています。もちろん手動の機械では量産には向きません。しかし、この手動の機械には打抜き加工の基本がたくさん詰まっているのです。前回の記事で書いた跳ね出しスポンジ技術などは、この手動機械で体得してこそ一流になることができます。

型抜き加工物語(第4回):職人はいつから一人前になるのか

新しい技術の根底には間違いなく昔からの技術が生かされています。当社を支えてくれた機械たちを使いこなす技術があってこそ、これからの新機械の能力も100パーセント以上に発揮することができるのです。

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