TOKYO町工場「再発見」プログラムを開始

外国人起業家と町工場のビジネスをプロデュース

私たちは、何か大事なことを見落としているのではないか。普段当たり前だと思っていることに、外から見れば大きな価値が眠っているのではないか。社会や経済が大きく変化する中で淘汰されたものは無数にあるが、残ったものにある輝く価値が気づかれずに埋もれているのではないだろうか。

TOKYO町工場HUBでは、このような問いかけに実践的に解答を見出したいと考え、外国人起業家と町工場のビジネスをプロデュースするTokyo Factory Discovery Program(TOKYO町工場「再発見」プログラム)を、日本で「ものづくり」に関わるビジネスを推進する外国人起業家や外国企業に向けて提供する事業を開始し、この度、その試験的運用を行いました。

今回は、シリコンバレーにおけるテック・ベンチャーで企業経験があり、日本で新しいものづくりビジネスを模索する米国人の外国人起業家A氏からの依頼で、日本の伝統技術である「漆」に関わる企業と工房、またプラスチックと金属・機械関連の合計4社を訪問しました。

ビジネスに関わることなので、詳細はここでお伝えできませんが、新しい視点からの斬新な発想と伝統的な技術や日本ならではのテクノロジーが出会う時、空気が凝縮するような非常にワクワクする化学反応が起きて、宝探しをしていて「ああ、見つけた!」というような興奮とサプライズがあります。

写真:足立区で100年以上に渡って漆の製造・販売を行う藤井漆工芸株式会社にて(真ん中は同社の内田さん)

世界は新しい共創の時代に向かっている

技術革新の加速度的な進展と情報通信・金融・流通などのインフラが新興国を含めて広く普及したことで、未曾有の社会・経済的変化が世界的に進んでいます。その主役は従来の大きな多国籍企業ではなく、相対的に力を増している小企業や起業家(Micro-Multinationals)となっていくことが予想され、その兆候はあちらこちらで現れています。

そうであるとすれば、激しい淘汰を生き延びた東京の町工場にも、次世代のグローバルビジネスにおいて競争優位性を発揮できる魅力を持ちうるのではないでしょうか。今の時代にしてはじめて、小さな企業が大きなインパクトを起こすことができる環境が整ってきています。それは「海外進出」というような言葉を「時代遅れ」なものにしていく可能性があるのです。

写真:墨田区の安宅漆工店にて東京マイスターの安宅信太朗ご夫妻と

なぜなら、新しい「共創」は場所を選ばず、「役割」と「信頼関係」に基づいて成り立ち、はじめからグローバルなビジネスになるからです。例えば、ベルリンの起業家が、チリのデザイナーと組み、資金調達をロンドンで行い、東京の町工場の技術や部品を土台に、台湾で製品を組み立て、ニューヨークのショップでブランディングし、シンガポールからネットで世界へ向けて販売し、多種多様な資金決済手段で資金を回収し、関係者に配分するようなビジネスが、小さな企業や個人レベルでも十分に構築できるのです。しかも、プロジェクトベースでそれを行うので、ある時期が来たら解散し、また新しいフォーメーションをそれぞれが作るようになります。

今まで大きな多国籍企業や、中堅企業が政府や諸団体の助成金を頼みにしかできなかったことが、小さな企業でもできるのが今の時代です。しかも、これはそうした大企業を代替する「柔よく剛を制す」というものでもなく、「柔よく柔に生きる」といった趣であると言っても良いかもしれません。

写真:葛飾区の簡易金型と小ロット射出成形を行う株式会社ミヨシにて(手前:同社の杉山社長)

新しい共創の時代のTOKYO町工場に期待

新しい時代の到来といっても、ビジネスの基本が変わるわけではありません。今まで以上に「信頼関係」が大事になると考えています。逆に言えば、「信頼される」ことの価値はグローバルに評価され、「役割」のユニークさとともに、ビジネスを展開する上で大切な要素となるはずです。その意味でも、オンリーワンの技術を持ち、厳しい淘汰を数十年生き延びてきた東京の町工場は、世界の中でも貴重な存在としてクローズアップされる可能性があります。

その可能性を探る上でも、私たちは新しい目で東京の町工場の「魅力」を再発見・再定義する必要があると思います。Rediscover Tokyo Factory Programは、2018年にさらに取り組みや活動を加速し、今までになかったビジネスのプロデュースに取り組んで参ります。

写真:葛飾区の「ものづくりインテグレーター」株式会社小川製作所にて。(右端が取締役の小川真由さん)

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