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1/ONE、無人個室ジム【1/workout】のプロトタイプ公開

AI搭載マシンの次世代型マイクロジム「1/workout」を開発している株式会社ONE SLASH ONE (1/ONE、読み方:ワンスラッシュワン)が、足掛け5年のステルスモードでの開発を経て、研究用プロトタイプの公開を開始しました。

1/ONEは、非日常空間の中で自分と向き合う「第4の時間」の創出をパーパスに、グルーバルIT企業出身のマーケター、機械学習エンジニア、生物統計家などが協働してイノベーションを創出するスタートアップ企業です。

プロダクト公式ホームページ:https://workout.oneslash.one<
プレスリリース:https://oneslash.one/news/release_20220509

TOKYO町工場HUBは、2018年8月に創業者の巳野聡央さんより「トレーニングマシン」開発のご相談を受け、株式会社小川製作所と開発支援に着手しました。以来、小川製作所は「1/workout」のキーコンポーネントの一つである高重量トレーニングマシン機構/電動パワーラック製作に取り組み、現在に至っています。

取り組みの経緯は、同社が公開しているPodcastに詳しく、ハードウエア開発を伴うスタートアップ企業のヒントになる話が満載ですので、是非お聞きになってください。

1/voice(Podcast):https://open.spotify.com/show/71zQGsuvmcnP86YZOJv3Lj

すでに累計調達額は2億円となり、2022年中にパイロット店舗のオープンをめざしているとのことです。

(補足)開発裏話のウラ話

TOKYO町工場HUBにとっても、本件は転機になったプロジェクトでした。当方が受ける相談は、誰も作ったことがないモノ(製品や装置)がほとんどです。ちょうど東京電力さんからも、複雑な装置づくりの相談を受けていた時でした。

その頃、いかに発注者と受注者(町工場側)双方のリスクを最小にしつつ、開発を段階的に進め、イテレーションを可能な限り回していけるのか、色々と試行錯誤していました。

新製品の開発には、さまざまなリスクがあります。技術的なリスクだけでなく、初期段階ではコミュニケーションリスク(相互の背景が違うことで、意思疎通が不十分となるリスク)など予測のつかない落とし穴も多々あります。そのため、基本的には何度か失敗することを覚悟して進めないといけません。

発注者の予算や開発期間、知識や経験などを吟味し、受注者側の許容度も測りながら、失敗した場合にも開発を継続できるように進めることも大事です。双方がリスクを十分に理解した上で、進めるプロセスや課金方法について合意する必要があります。

筆者(古川)は、ものづくりを全く知らずにTOKYO町工場HUBを立ち上げたこともあり、最初はものづくりビジネスを理解するのに苦労しました。一方、誰も作ったことのない未知のモノづくりに取り組むことは、一般に工場側にとっても新しいことなのです。すべてが手探りでした。どういう役割で、どういう立ち位置で、いかにコンフリクトを減らし、成果にフォーカスできるか。小川さんとは方法論について何回も何時間も話し合ったものです。事業を始めて1年が過ぎ、学びを積み上げながら、ようやく方法論が固まってきた頃に、ご相談があったのが1/ONEさんでした。

1/ONEさんの案件は、まさにTOKYO町工場HUBがイメージしていたアントレプレナーでした。

スタートアップが、クリエイティブな発想を明確に描き、技術的にもビジネス的にも障害を乗り越えてカタチにしていくのは、並大抵なことではありません。その困難を少しでも軽くし、クリエイティブな人たちが自由自在に活動できるモノづくりのエコシステムを構築するのが、TOKYO町工場HUBのビジョンです。その出発点に近いところで、方法論が見えてきたところで、一緒にイメージをカタチにする機会を頂けたことは、とても大きな意味を持っていたのです。

最初にご相談を受けてから4年が経過し、こうして最初のプロトタイプが公開され、パイロット店舗がオープンすることになったことは、本当に嬉しいことです。本件について言えば、TOKYO町工場HUBの役割は、キックオフさせることでした。それ以降の開発は、小川さんが精力を傾けて取り組み、今も続けています。

事業がここまで成長したのは、巳野さんの経営力と多様なエキスパートたちのチームワークと献身があったからだと思います。素晴らしいことだと思います。本当の事業はまさにこれからですが、成功を心から祈っています。たくさんの方々の「第4の時間」が創出されますように!