RISE OF SMALL 中小企業の逆襲
あだち新製品開発講座での講演
TOKYO町工場HUBは、足立区が主催するあだち新製品開発講座からのお声がけをいただき、同講座の参加者を対象に、2回(各回2時間)に渡って新しい時代のビジネスを語る講演を行いました。第1回目のタイトルは「The Rise of Small 中小企業の逆襲」。グローバルな規模で猛スピードで変化しつつある事業環境の大転換とその意義を解き明かし、来るべき新時代における小規模製造業の戦い方について、事例をあげながら説こうと試みたものでした。
今、大量生産大量消費の経済システムを形成した社会、経済、技術面における様々な制約が主に情報分野における技術革新とイノベーションのおかげで急速に失われていく中で、世界に全く新しい経済の仕組みが生まれ始め、旧来の価値観や関係性、目的や手段、その効果や効率性が、全く違う次元に移り始めています。私たちが目にしている事業環境の大転換の様子は、波の変化ではなく、まさに地殻変動(トランスフォーメーション)のような大変革です。
それを端的に言えば、大量生産大量消費の原理を支えていた高コストの構造が大崩壊し、あらゆるインフラ面における限界コストがゼロに近づくことで、小規模事業者のビジネスの自由度と新しいビジネスモデル創出の可能性が飛躍的に高まった時代だということができます。
一方、生産者と消費者との区別が薄れ、砂丘の砂のように細かくなった事業者たちの世界規模での大競争時代でもあり、国境を越え、地域をまたぎ、分野や業種の壁を超えて、相互に補完や干渉を繰り返す世界でもあります。
そのような状況で、私たち小規模事業者はどのように事業を展開すれば良いのでしょうか。実際のところ、暗中模索するようなことが多いのですが、進みつつある変化の本質を理解すれば、いくつかの原理のようなものが見えてきます。
販売の形態が様変わりし、グローバルな資金決済や流通の仕組みが大きく変わってるきている中で、今までのような形で在庫を持って販売することは合理的でしょうか。大企業からの仕事を下請けしていれば食べていける時代が過ぎた先に、新しく構築すべき関係性は何なのでしょうか。
モノやサービスの作り方や売り方だけではありません。どのように働き、協働するのか。何に価値観を置いて、どのように実現していくのか。個人の生き方や、豊かさの定義、幸せの求め方にも関わることです。
2時間をかけて丁寧に話し、ようやく何が言いたいのかわかるような内容なので、ここでは上記のように抽象的にしか書けませんが、実際の講演ではできるだけ具体的に説明しました。全体像を立体的に説明することに努めましたが、うまくいったでしょうか。参加者の反応を聞くと、少しは効果があったようです。
次回は、今回のテーマを土台に、小規模事業者がグローバルに展開することの戦略的な考え方をお伝えしようと思っています。