マツウラブラスト
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江戸彫製作:ものづくり動画

今回は、葛飾区の有限会社マツウラブラストを訪問し、江戸彫の製作工程を撮影させていただきました。

江戸彫(えどぼり)は、サンドブラスト(砂彫り)という手法を用いた硝子彫刻の伝統工芸です。有限会社マツウラブラストの松浦勝利さん(先代)が独自の技を発展させ、二代目の松浦健二さんが引き継ぎアートへと昇華させています。二人とも、葛飾区の伝統工芸士に認定され、健二さんは東京マイスター(東京都優秀技能者)にも認定されています。

異なるサイズ、素材の砂の粒子を自在に扱い、ミクロレベルの表現を硝子に彫り込んでいます。江戸彫の魅力は、シルキーな質感、持った時の手のひらに感じる優しさ、温もりにあります。カット硝子に感じるエッジの鋭さとは対照的に、吹き付ける砂が織りなす造形は穏やかです。それは砂浜の波で洗われた続けたガラスの破片のように、柔らかな感触です。

2代目の健二さんが最も大事にするのは「仕上げ」。こだわっているのは、均質性。自然の砂は決して均質ではなく、吹き付ける砂の流れも勢いも高速でランダムです。気温や湿度によっても、その仕上がりは変わってきます。その不確定さを読み、ミクロレベルでひとつひとつが均質になるように仕上げるのは、まさに匠の技と経験です。

粗い砂で一番深いところから彫り始め、徐々に砂の粒子を細かくしていきます。砂の彫りを何層もの段階に分けて繊細に作り込むのが、マツウラブラストの技の特徴です。一般のサンドブラストより相当手間がかかりますが、そのこだわりの先に用の美が宿ります。

視覚的には同じように見えても、手のひらや指の感覚は、微妙な違いを感じ取ります。そのわずかな違い、その見えない細部に魂を込めているのです。

今回、健二さんが製作されているのは「面白半分」という名の作品。図柄を出すには、図柄部分を掘り込む方法と、図柄以外の部分を彫り込んで浮き出させる方法の二通りあります。この二通りの技法をひとつのガラス上で半分ずつ表現したのが「面白半分」。とてもユニークで美しい作品になっています。

こちらでお買い求めできます。

ご協力をいただきました健二さんはじめ、マツウラブラストの松浦勝利ご夫妻に心より御礼申し上げます。

西村さん、今回もお疲れ様でした!

葛飾区伝統職人会のこちらの動画も是非あわせてご覧ください。

西村さんの動画は、Youtubeチャンネル「The Process」にアップされています。ぜひ、チャンネル登録を!

西村拓巳さんのプロフィール

神田外語大学イベロアメリカ言語学科ブラジル・ポルトガル語専攻3年。

小学生の時に始めたソフトボールをきっかけに、高校まで野球に励む毎日を送る。部活動を引退後、友人と旅行の1日をまとめた動画を作成し動画の魅力を発見。高校卒業時にクラスの卒業ムービーを作り、自分が作った動画で人の心を動かす経験をし、動画の魅力を再発見。大学に入り結婚式の最後に流れるエンドロールを撮影する仕事を開始。その後、自分で企画をしてみたいという思いから、日本の技術を世界に届けることを目標にした本プロジェクトを開始し、様々な方に支えられ現在に至る。

西村さんのメッセージ

将来は映像に関わる仕事をやりたいと思っています。しかし、このプロジェクトで多くの方と出会い、「何をするかよりも、誰とやるか」という価値観を大事にしたいと強く感じました。そのため人との繋がりを大切に、これからも様々なことに挑戦していきたいと思っています。