モノづくりエコシステム構築
町工場の製造力を自由に活用できる環境づくり
東京の町工場の製造力を、クリエイティブな人や企業がもっと自由に活用できる環境をつくることで、モノづくりは新しい熱量を持ちうるのではないか。町工場の中身を変えずに、位置付けを変えることで工場の付加価値を上がることができないか。水平展開の仕組みをグローバルに展開することで、価値を創造する機会が増え、回転が早まるのではないか。
こうした仮説を立証すべく厳選された200社を超える町工場のネットワークを構築し、特に重要な加工分野の中心的な町工場をHUB化する取り組みを続けています。
価値創造のための町工場ネットワーク
東京の町工場は、従業員が5人未満の小規模なところが多く、特定の分野での技術力が非常に高い一方、1社で製品を完結させることは難しく、相互に協力しながら、発注者の様々なニーズに応えてきました。しかし、町工場の数が激減する中、このような協力体制は至る所で寸断されており、ものづくりのエコシステムは機能性を失いつつあります。
TOKYO町工場HUBでは、寸断された紐帯を各分野ごとに「町工場のHUB」を形成することで、新しい時代のものづくりのエコシステムを構築しています。例えば、機械関係の設計・開発部門の町工場を中心に、プレス、金属切削、溶接、金属研磨などの金属加工、射出整形、樹脂切削、樹脂研磨などの樹脂加工、さらには電子制御系、組み立て加工など、多種多様な機械生産のニーズに応えるHUBを形成してきました。
アクセサリー、雑貨、パッケージや伝統産業にも、それぞれのHUBを形成し、広く連携体制を築いています。
こうした町工場は相互の信頼関係で結びついているものです。その緊密なネットワークをベースに、より創造的にものづくりを推進できるようHUBの構成や取り組みをデザインしています。
株式会社 小川製作所
機械設計、精密部品加工、板金
機械設計・開発、金属加工全般をカバーする多様なネットワークを持ち、この分野のHUBとしての役割と機能を果たしています。ものづくり全般に対する豊富な経験と知識をもち、TOKYO町工場HUBの基幹となるクラスターをリードする重要なパートナーです。同社の取締役 小川真由氏は、さまざまな媒体でものづくりや経済について情報・意見を発信しています。
SHINA FACTORY
金属アクセサリー製造・加工
TOKYO町工場HUBと有限会社椎名製作所とは、飛躍的に成長しているハンドメイド市場で活躍するアクセサリー作家・クリエイターに特化した製造・加工サービス事業「SHIINA FACTORY」を共同で立ち上げ、現在は椎名製作所が単独で運営中。アクセサリー製造に関わるクラスターをHUBとして再構築し、オープンなファクトリー機能を構築しています。
PACKAGE ART
パッケージを総合プロデュース
パッケージアート株式会社は、パッケージを通じて、多種多様な分野と業種に繋がり、ビジネスHUBとしてのポテンシャルを高く持っている町工場です。自社で企画・製造する工場を持つ上に、7000種類の関連製品を扱う商社でもあります。2020年以来、TOKYO町工場HUBは同社のビジネスプロデュースを手がけています。
TOKYO KEYBOARDの事例
デザイナーのアルビン・チェン氏が企画・デザイン・プロデュースした新型パソコン用キーボードの開発案件。TOKYO町工場HUBはパートナーとして製造面のアレンジを担っています。
1/0NEの事例
AI搭載マシンの次世代型マイクロジム「1/workout」を開発している株式会社ONE SLASH ONE (1/ONE、読み方:ワンスラッシュワン)の開発初期における開発パートナーの導入をTOKYO町工場HUBが支援しました。
グローバルなモノづくり
スタートアップのモノづくりはグローバルなネットワークの中で展開しています。AIやコミュニケーションツールが発達し、国際的な物流や決済サービスも急速に発展しており、これからのスタートアップは、様々な意味でボーダーレスな事業環境を前提に開発を進めていくことになります。TOKYO町工場HUBのグローバルなネットワークを活かし、国内外のスタートアップを支援しています。
ケニアでの電動バイク開発
ケニアで使用される電動バイクの開発案件をロンドンのプロダクトデザイン事務所(ARVenture Studio)と協働で取り組みました。ケニアの事業者、ロンドンのプロダクトデザイン事務所、量産が中国という構成で、TOKYO町工場HUBは、ボディ部分の開発に関わりました(株式会社小川製作所)。